『日本漫画映画の全貌』とナウシカの上映
2004.8.8(土)

最終更新日:2004/10/9

※掲載している写真の無断転載等は、絶対に行わないで下さい。


日本漫画映画の全貌
―その誕生から「千と千尋の神隠し」、そして…。―
 今日、国内はもとより世界でも評価が高い日本のアニメーション。英語のAnimate=生命(いのち)を吹き込む――という言葉から生まれたアニメーション(Animation)は、その草創期には「漫画映画」と呼ばれていました。
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 本展では、日本のアニメーションが生まれた大正時代から現代まで、「漫画映画」の名作・傑作約200本を一堂に集め、貴重な資料の展示と作品上映を通しその魅力の全貌に迫る史上初の大展示です。
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 本展ではアニメーションの原点といえる「漫画映画」の草創期から現代に至るまでの歴史をわかりやすくお見せします。手探りで技術を蓄積していった戦前の白黒短編作品の時代、戦後、映画の黄金期に呼応してカラー劇場用長編作品を成功させた東映動画(現東映アニメーション)スタジオ、そして次々と傑作長編を生み出しているスタジオジブリの作品など、大きく三世代に分け、誕生から現代に至るまでの発展をたどります。
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東京都現代美術館・企画展
2004年7月15日(木)〜2004年8月31日(火)



現代美術館の近くにある橋です。この日は、とにかく天気が良かった!  2004年8月8日(日)、お盆で実家へ帰省する途中に、“東京都現代美術館”の企画展「日本漫画映画の全貌」を見に行ってきました。ジブリが関連する企画展は、去年夏の「ジブリがいっぱい スタジオジブリ立体造型物展」に引き続き、2年連続です。そして、私が行くのも2年連続、2回目です。(常設展の方は、毎回時間が足りず、まだ見たことがないのですけれども… (^^; )
 今回は映画も観ることが出来て、かなり充実した一日を過ごすことが出来ました。以下は、そのレポートです。(※なお、全ての写真はクリックすることで、(かなり)大きな写真を見ることが出来ます。【】 この写真は、現代美術館の近くにある橋と噴水です。)


『ネコバスふわふわプレイランド』どこかのお父さんが写ってしまいましたが…  まず、現代美術館の入り口では、猫バスが出迎えてくれました!【】。去年「立体造物展」で 訪れたときは、入り口横ではなく展示場の屋外部分に来ていました。(しかも雨だった…) 今年の位置だと、入場しなくても遊べて良いですね。(^^;
 …というか、私も入って遊びたいなぁ(笑)。
 あ、正式名称は『ネコバスふわふわプレイランド』というらしいです。

『耳をすませば』『猫の恩返し』に登場した、猫の男爵バロンです。  さて、中に入って入場券を買い、企画展の展示場に入ろうとすると、今度はバロンが お出迎え(というか、入り口付近をうろちょろしてました)。思わず記念撮影【】。

奥に「動く城」があるのですが…。イラストは、もりやすじさんの「長靴をはいた猫」ですね。今回の企画展のポスターに使われている物と同じです。  …と、ここまでは写真撮影可能なのですが、展示場の中にはいると一部を除いて 撮影は出来ません。と、いうことで、入場前に外側から写真を撮ってみました【】。 が、なんだかよく分かりませんねf(--;  左上の奥に何か映っているのは、ハウルの「(本当に)動く城」ですね。反射してて、 何がなんだかよく分かりませんが。後で実際に動いているところを見ましたが、 これが本当によく動くんですよ!「よく」というより、かなり「激しく」動きます(汗) これでよく壊れないものだと感心してしまいました・・・というのは、一番最後に見ました。


 さて、荷物もコインロッカーに預け(入れた100円玉は開けたときに戻るタイプ)、いよいよ 入場。入ってすぐのところには、黒板に描いた絵を撮影したものとか(日本製ではない)、 本当の聡明期のアニメーションが展示されていました。 あと、走馬燈なども展示してあったような(←うろ覚え)。
 しかしここで、もうすぐ映画の上映が始まる時間だということに気がつく。てっきり 企画展示の中にあるのかと思いきや、別の部屋で上映するらしい。入り口の係りの人に お聞きすると、再入場は1回だけなので、いま入ったばかりのは無かったことにしてくれました。
 急いで上映する場所へ。幸い、席はまだ残っていました。無料です。 すばらしい!
 座って待っていると、たちまち席が埋まり、満席となりました。上映作品は、「どうぶつ宝島」(1971)。アイディア構成や原画を宮崎駿さんがやっています。
 オープニングから、既に面白そうな雰囲気。




・・・正直、こんなに面白いとは思いませんでした!


 子供向けのアニメではありますが、大人でも十分楽しめます。こんなに昔に、これほど クオリティの高い作品が出来るとは、驚きです。あの軽快な音楽も頭にこびりついてしまいました。 本当に楽しい作品です。計算された面白さがこれでもかというくらいに詰め込まれていて、 また、ところどころに宮崎さんらしい演出も見られます。かなりおすすめです。まだ見ていない方にも、自信を持ってお勧めできます。
 最初に見たのがビデオではなく映画で、幸せです(^-^ こういう作品を、“名作” と呼ぶのではないでしょうか。

 それにしても、最近はこんな感じの良い作品は、全くないですね。こういうジャンルというか、 こういう路線の作品が、全く作られていないのは残念です。

 今度こそ本当に、企画展『日本漫画映画の全貌』へ入場。まず、黒板に書いて作った アニメや、走馬燈が展示してあるのは先に書いたとおり。

 その次に展示してあったのは、“切り絵アニメ”など。透明なセルなんかが無い、 当時のアニメーションでは、紙に書いた絵を(例えば人物の輪郭ごとに)切り抜いて、 重ねることで作成していたようです。全部のコマをそのようにして作製している ものもありましたが、関節部分を切り離すことで、2次元の操り人形みたいな 感じにして作製している物も。少し不自然な動きですが、これはこれで面白いです。 この手法で作製した時代劇のアニメが、音もないため、セリフがチャップリンの映画みたいに 出てくる(文字だけの画面に切り替わる)のも、なかなか味がありました。

 次には音声付きの「くもとちゅうりっぷ」(1943)。 既に、現在のアニメーションに近い物になっています。展示部分は歌っている場面で、 ミュージカル仕立てのようでした。…この作品は、もちろんそれまでのアニメに比べて 様々な点で画期的なのですが、何よりもすごいのが、この作品が戦時中に作られたということ。全くそんな空気さえ感じさせない作品でした。
 同じ作者(政岡憲三)で、「すて猫トラちゃん」(1947)という、 こちらは終戦直後に公開された作品もありました。新しい表現の実験をたくさんしていたようで、 特に“視点の180度回転”なんかは特筆に値します。 登場人物を中心に、カメラがぐるっと回転する感じで、今見ても“おぉっ!”と思いました。

 ※ここに書いているのは展示してある物全てについてではなく、個人的に印象に残った物だけについてです。念のため。



 次は、日本初の長編カラーアニメーション映画、「白蛇伝」(1958)。曰く、
「白蛇伝」が公開された1958年、高校三年の受験期のただ中にいたぼくは、漫画映画のヒロインに恋をしてしまった。(「出発点」より)
とのことで、宮崎駿さんがこの世界に入るきっかけともなった作品です。
 原画や設定の他に、キャラクターのモックアップ(木製)などもあり、展示面積も広くとってありました。また、同じ場所に、割と最近まで実際に使用してたという、巨大な撮影台「マルチプレーン」 (セルや背景等を重ね、フィルムに撮影する装置)も展示してありました。

 そして「太陽の王子ホルスの大冒険」(1968)。 この作品は、“高畑勲さん・宮崎駿さんコンビ”の原点ともいえる作品です。ヒルダが歌う 場面などが展示されていました。(余談ですが、日本では比較的知名度が低いこの作品も、 中国では、DVDを売っていました。(※もちろん日本でも売っています))

 次は「長靴をはいた猫」(1969)「どうぶつ宝島」(1971)へと続きます。「どうぶつ宝島」は、先ほど 映画で見たばかりだったので、オープニングの場面のコンテがあったりすると、 すぐに場面が浮かびました。この2つの作品は、似たような方向性の作品ですね。 どちらも傑作の部類に入る、素晴らしい作品だと思います。

 この辺りに、「ベッドに乗って空中を飛んで、落っこちたら、ベッドから落ちた ところだった」というような、非常に短いアニメがあったのですが、何という 作品だったか、忘れてしまいました。(今、資料も手元に無いもので…) もともと長編の作品のはずが、紆余曲折して、未完成になったとか、そういう感じの ものだったと思いますが(ちょっと違うかも)…。



 そしてとうとう、「パンダコパンダ」(1972)「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)を経て、 スタジオジブリ作品が登場します。「風邪の谷のナウシカ」(1984)〜「千と千尋の神隠し」(2001) まで、各作品のイメージボードなどが展示されていました。そして、部屋の真ん中には 「カリオストロの城」でルパン達が乗っていた車、「フィアット500」の実物が!!
 これはなんと、会場内で唯一撮影が許可されているのです。(フラッシュは禁止)
さっそく、写真を撮りまくりました。
Photo “周りをぐるっと”
Photo “各パーツ”
Photo “テレビ撮影の撮影”
Photo “テレビ撮影の照明で…”
Movie (Xvid+PCM)
フィアットについて

 こんなに写真を撮りまくったのは(※↑これで全てではありません)、どうせ他に撮るところなんて無いだろうから、撮れるだけ撮ってしまおう、と思ったからです。しかし、ここでメモリーの無駄遣いをしたせいで、次の日の聖蹟桜ヶ丘で苦労することに…。
 偶然、日本テレビ(だと思う)の収録が来ていたので、その照明を利用して写真を撮影…(フラッシュが焚けないので光量不足だったんです)。その割にはブレていますが(汗)。ついでに撮影している人も撮影。残念ながら、このとき収録していた物が、いつ放送されたのかはわかりませんでした。
 そういえば、去年ここに来たときは、新聞社の人が取材に来てたなぁ…。こういう方々は、自由に写真撮影が出来たり、関係者の人にもお話を聞けたりするので、うらやましいなぁと。f(^^;


 写真を撮って、一段落している暇はありません。フィアットの周りがジブリ作品の展示なのですが、それをゆっくり見ている暇さえありませんでした。…なんて言えるのも、ほとんどが一度はどこかで見たことのある内容だったので、それほど気合いを入れて見る必要がなかったからなのですが。
 なぜかというと、「風の谷のナウシカ」(1984)の上映時間が迫っていたからです!これは最優先事項です。
 そんなわけで、『人間アニメーション(ピクセレーション)体験コーナー』というのはあまりよく見学せず(というより、子供専用でしたので)、ハウルの「(本当に)動く城」も軽く見て、結構見たかった「白蛇伝」の上映会ももう終わっていることを確認して、ちょっと急いで、先ほど「どうぶつ宝島」を見た会場へ向かいました。

 なお、『人間アニメーション』というのは、見た感じ、単に静止画を撮影し、パソコンに取り込んだものをつなげてアニメーションにしているだけでしたので、普通のデジタルカメラとパソコンさえあれば、家庭でも、誰でも出来ると思います。粘土とかを、コマ撮りして動かすアニメーションがありますよね。あれを人間に対してやっているだけです。(細かいやり方を知りたい方は、メールで聞いてくれれば、細かく説明しますよ (^^; )
 ところでこれ、その場でCD-Rに焼いてプレゼントしてくれるみたいでしたが(子供限定)、使っているメディアが50枚か100枚のスピンドルで、どうも台湾製のようでした。いや、だからどうした、というわけでもないのですが…。ただ、これをもらえた方は、ちょっと経ったら読み込み不能に…などという悲しいことにならないうちに、品質のいいメディアにデータをバックアップしておくことをお勧めします。f(^^;;
 また、動く城は、本当によく動く!ホント、あんな動き方をしてよく壊れないものだと感心しました。よく見ると、ウレタンが使われていたりして、かなり軽量化がなされているようでしたが、いやしかし、よく持つなぁと思います。(こういうのって、ちょっと動かすくらいなら良いのですが、「長期間にわたって何度も動かしても大丈夫なもの」を作るのって、なかなか難しいものなんですよ!←体験談(笑) 毎日メンテナンスしてるのかもしれませんが…) さて、アニメーションでは、一体どんな風に動くのでしょうか…?

トトロです!前がよく見えないのか、のそのそ歩いてました(笑) かなり暗く写ってしまいましたね…  企画展を出るとき、入れ違いに入っていくトトロとばったり遇いました(笑)【】。
 テレビが来てたので、ひょっとして撮影用かな〜と思いました。なんだか前がよく見えないのか、のそのそ歩いてました。

そんなわけで、後でもう一度確認したら、

11:30 美術館到着
12:00〜13:20 「どうぶつ宝島」上映
15:00〜17:00 「風の谷のナウシカ」上映

ということだったので、企画展自体は1時間半以上見ていたことになるのですが、ボリュームたっぷりで、ゆっくり全部見ている時間はありませんでした。この会場でしか見られないという、「にほん まんがえいが はったつし」という映像も、時間の都合上見ることが出来なかったのが残念です。



 「風の谷のナウシカ」です(感激)!!
とうとう映画で見れるのです! しかも、無料です!

テレビで見るのとは、まるで違います。大画面。高解像度。(フィルムが古いのでそれほどクリアな画面ではないのですが、それはそれで味があって良い!)
そして何よりも、今、一緒に同じ映画を見ている、他のお客さん達の存在。
これはもう、何とも言えません。

途中フィルムの入れ替えで、3回前後映像が途切れました。
(最近はこういう映画があまりなかったので、ちょっと懐かしかったです。)

終わったとき、どこからともなく起こった拍手は、絶対にテレビでは味わえないもので、会場にいる方々の一体感というか、とても暖かい感じが、すごく良かったです。

 いや〜、この日がたまたま「ナウシカ」の上映日だったとは、ここに来るまで知りませんでした。偶然とはいえ、すごくタイミングが良かったです。なお、7/19には「天空の城ラピュタ」も上映されていたようです。更に欲を言えば、同じものは2度と聞くことの出来ない“座談会”の日だったら、どんなに良かったかと…。高畑勲さんがいらっしゃった日もあったようです。(どんなお話があったのか、もし座談会に参加出来た方がおりましたら、是非教えてください! m(__)m )
 う〜、近くに住んでいたら、毎週行ったのに! (>_<
(↑それに、映画や座談会は無料で見れるので…)




 …などと、色々勝手なことを言っていますが、基本的には大満足でした。
映画が終わった後は、お土産を物色して、結局買ったのは『「日本漫画映画の全貌」展 図録』のみ。大きくて重い本です。ボリュームたっぷりでうれしい反面、まだまだ実家にたどり着くまで、先が長い身としては、かさばって重たい本はちょっときつい。

現代美術館の近くにある橋です。川面に映っていて、なかなか美しかったです。  去年の「立体造物展」は一人で行ったのですが、今年は首都圏在住の友人S君と一緒に行くことが出来ました。久しぶりに会えたのに、昼食もとらずに館内を引っ張り回し、その上一夜の宿も提供していただいたという…。本当にお世話になりました m(__)m
 また、去年来たときは小雨が降っていましたが、今回は快晴!【
暑かったけど、カラッとしていて気持ちよかったです。

 来年もまた、このような企画展があったら是非行きたいです。もっとも、来年も帰省できるかどうかは、全くの未知数なのですが… f(xx;

 と、いうわけで、この日はS君のアパートに一泊させていただき、次の日は念願の聖蹟桜ヶ丘へ向かったのでした。


『聖蹟桜ヶ丘』を訪ねて2004

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