THE ART OF LAPUTA から分かること・考えること。

ここでは、徳間書店から出ている「THE ART OF LAPUTA」を見ないと分からないことを中心に、少しずつ考えたりしながら、書いていこうと思います。




ポムじいさん(2004/4/24)
 『千と千尋の神隠し』の時に、“ジブリのキャラクターにはモデルがいる”という話がありましたが、ラピュタも例外ではなかったようです。

 これは近藤喜文さんと森やすじさんを足して2で割ってできたキャラクターです(笑)。
 ポムというキャラクターの性格は、人前では内気でしゃべれない。だから、人と話しているよりも地下で石と会っている方がいいという人なんです。
 飛行石を見たときも、『強すぎる』といってますよね。手がワナワナとふるえてるんですが、石に秘められた恐ろしい部分も当然、わかっている。だから、シータにああいうことがいえるんです。
 世間ずれもしていない。世の中でうまく生きていくのがヘタな分だけ、なにかもっと大事なことに気付く人なのではないかと思って設定しました。


 残念なことに、モデルとなったという、森やすじさんは1992年に、近藤喜文さんは1998年に他界されています…。

ムスカの子孫(2004/4/24)
 割と有名な話ですが・・・

 当初、ムスカは顔を四角しようと決めていたので、レプカにそっくりになってしまったんです。 “レプカの祖先”とかいってたんですけどね(笑)。
 結局は、レプカよりも若くしようということで細長い植物的な顔立ちにしました。レプカやカリオストロというのは、ある種、完成している男ですよね。 ムスカはそれに対して出来上がりきらない男にしようと考えたんです。野心を持って軍隊に入ったが、どこかにすごいコンプレックスを持っている男という設定です。 もともと高貴な一族だという自負と、しかし、現状は軍隊の中のほんの一部分にすぎないというギャップですね。
 そして、そういったものがいくつもあって、『いつか見ていろ』という内面がある。 だから、若僧でなければいけない。でも、頭の悪い若僧ではいけないということで植物性の知的な感じになったんです。


 レプカの先祖ということは、…あれ?ムスカって結婚していたんでしょうかf(^^;
(『未来少年コナン』を知らない方には、何のことかさっぱりですね(--; )

おかみさんの年齢(2004/4/24)
 親方の奥さん、マッジの母(多分)、フライパンを持って立っていた、おかみさんの年齢は…。

 20歳のおかみさんです。今でも労働者階級はざらに15歳ぐらいで結婚してますから、20歳ぐらいでもいいだろうということですね。

 確かに、マッジの年齢(正確には判りませんが)からすると、今20歳なのだったら、15歳くらいで結婚…というのもわからなくもないかも。・・・って、若いですね〜。とてもしっかりしていて頼りがいのあるおかみさんです。 (^^;

ラストシーンの案(2004/4/24)
 ラスト・シーンでゴンドアのシータのところへ行かせようと、 最初は考えていたんです。しかし、さっきお話しした『どうやって飛ばすか』という問題があったし、 それと、多くの発明家がいろいろ失敗しているのだから、パズーがたった1回の試みで 成功してしまうのはどうかとか、いろいろ考えているうちに、結局、飛ばせることはやめにしちゃったんです。

 そういえば、以前に掲示板で、“エンディングテーマのその後を見たことがある”とか、 “パズーがオーニソプターでシータに会いに行く場面を見た気がする” といった話が話題になったことがありました。(スタジオジブリの公式ホームページで、しっかりと否定されてしまいました f(^^; )
 これと同じ文章をどこかで見ていて、いつの間にか実際に見たような気がするようになった、ということは十分考えられるような気がします。

 …なのに、いつだったかのカレンダー(パズルもあったかも)では、パズーがオーニソプターに乗ってシータに会いに来ている絵があったような…(笑)

飛行石のマーク(紋章)について(2004/4/24)
 飛行石のマークは、空中に飛んでいる街のイメージです。翼のある街。 下のおわんが半球体を表しています。翼を細く描いても動画が大変なので木のようになったんです。 木はラピュタ人にとって大切じゃなかったんです。

 ところで、ロボットについている紋章には、人間の顔のようなものが彫られているし、 ラピュタにある墓標には、ちゃんと街と翼が描かれています。これらとシータの飛行石 の、3つ中では、ラピュタにある墓標が、一番上記のイメージに一致しています。

フラップターの性能(2004/4/24)
 味の素宣伝用イラストのフラップターに、なにやら数値が書いてあります。

   S.90Km/h
   R.200Km
   W.67Kg

 「S」は最高速度、「R」は航続距離、「W」は重量でしょうか・・・。軽いですね〜。
 その他には、角度(Aとθ)を示しているような図があって、その横に

   Σ=rθ√±O2−∞

 なんていう記載もあります。(本当は「O」の上まで根号がかかっていて、「±」(プラスマイナス)ではなくてこれが逆さになった「干」(マイナスプラス))
 …この数式は、多分適当です(笑)。何の意味もなさそうだし f(^^;

ラピュタ語について(2001/12/18)
 「THE ART OF LAPUTA」の最後には、“シナリオ準備稿”というものがあり、映画とはまた違った「ラピュタ」を読むことができます。(特に後半〜ラストにかけてが、大分ストーリーが違います。)
 これには、映画には出てこなかった「秘密の言葉」があったり、ラピュタ語に日本語訳がついていたりします。
 ここの訳は、映画と違う意味になっているものもありますので、注意してください。

 「バルス」・・・とじよ
    (これは映画中では説明されていません。)

 「リテ・ラトバリタ・ウルス
  アリアロス・バル・ネトリール」
・・・我を助けよ、つわものよ来たれ……
    (これは、映画中の説明と少し異なります)

 リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ
 「ウル」・・・
 「トエル」・・・正当な継承者
    (トエルの方は、映画中の説明と異なっています)

 「レヂアチオ・ルント・リッナ」・・・ものみな鎮まれ
    (この呪文は映画中には出てきません)

 「シス・テアル・ロト・リーフェリン」・・・失せしもの汝姿を現せ
    (この呪文も映画中には出てきません)


ラストの場面で、シータの飛行石はどうなった?(2001/12/18)
 映画中、シータとパズーの「バルス」で、強い光を発する飛行石。崩壊する天空の城ラピュタ…。この場面の後、シータやパズーが飛行石を持っている様子はありません。一体、あの後飛行石はどうなったのでしょうか?
 さて、同じような場面が、準備稿にもあります。以下に、一部を引用します。

シータの凛とした声がひびく。
シータ 「バルス(とじよ)」
異様に光を増す飛行石
ムスカ 「クソッ」
目がくらみながらピストルを抜き、シータを撃つムスカ。
はじける飛行石。
すさまじい閃光がムスカの目を襲う。
倒れるシータ。
遠く深い所から地鳴りが始まる。

準備稿では、ムスカの撃った銃弾が飛行石に当たって「はじけ」たのか、それとも自然に「はじけ」たのか、判断はできません。(と思います。)映画では、この場面でムスカは銃を撃ちませんが、それでも「はじけた」という表現がしっくりくると思いませんか?私は、映画でムスカが銃を撃つシーンは無くなっても、この「はじける」というのは最後まで残っていたのではないかと思います。
 別の考え方も当然あると思いますが、上に引用した部分は、この場面を考えるひとつのヒントになると思います。

英語表記のスペル(2001/12/18)
 この本の最初に、英語で解説(?)があります。以下は、そこにある表記です。

ラピュタ ・・・ Laputa
飛行石 ・・・ Levitation Stone  or   "Levi" stone
スラッグ渓谷 ・・・ Slagg's Ravine
ゴリアテ ・・・ Goliate
パズー ・・・ Pazu
シータ ・・・ Sheeta
ドーラ ・・・ Dola
ムスカ ・・・ Muska
ロボット ・・・ huge robot  (単に"巨大なロボット"というだけですね…)

この他、飛行石の放つ光を"a beautiful pale light","magical light"
海賊(本当は空賊だと思うが…)を"the sky pirate"
などと表現しています。 
補足説明 (2004/4/24)
 ゴリアテのスペルについては、DVDの英語字幕が「Goliath」となっていたことや、聖書にでてくる(らしい)、確か、名前の由来となっている「ゴリアテ」のスペルも「Goliath」であったため、自分が間違ったのではないかと思っていましたが・・・。
 再度、「THE ART OF LAPUTA」を確認したところ、この本では「Goliate」となっていました。 (^^;
 おそらく、これを書いた人が間違ったのでは・・・。それとも、わざと別のスペルにしたのでしょうか??
(ちなみに、今回確認した版は、【昭和62年1月10日 第2刷】のものです。)

パズーの道具袋(2001/12/18)
 シータいわく「パズーのカバンて、魔法のカバンみたいね。何でも出てくるもの。」という、パズーのあのカバン(道具袋)。他には一体何が入っているのか?!
 …実は、ちゃんと設定がありました。

ローソク、マッチ、火薬ビン、スパナ、ゲージ、ドライバー、ペンチ、モンキー(スパナ)、糸ノコ、ヤスリ、ナイフ、その他ワイヤー・釘・ピン
これに加えて(パン+目玉焼き)×2、りんごが1個に、あめ玉が2つ、ランプも入ってましたね。

 ・・・まさに、魔法のカバン!(ドラえもんの4次元ポケット並?)宮崎さんも、以下のように言っておられたようです。

パズーについては、カッコイイ少年ではなくて自分のカバンの中からなんらかの道具を出して、やっていく少年がいいのではないかと考えました。それで、カバンの中身をたくさん描いたのですが、実際にはこんなに入らないですね(笑)。目玉焼きもどうやって入っていたんでしょうね(笑)。

“シータ”という名前の由来(2001/12/18)
 物語の設定上の話ではなく、宮崎さんはどこからこの名前を持ってきたのか、という話です。それについては、以下のようにありました。

 シータの名前は、数学のθ(シータ)からとったものです。不思議な文字だなあと思ったんです。『ラーマー・ヤナ』にもシータという名の王女が出てくるんですが、僕にとってはギリシア文字のθです。(以下略)

“タイガーモス”という名前の由来(2001/12/18)
 物語の設定上の話ではなく、宮崎さんはどこからこの名前を持ってきたのか、という話です。それについては、以下のようにありました。

 飛行機の名前で、タイガーモスという名前があるんです。でも、それに関係があるのかといったら、そうではなくて、その名前が気に入っていたので使ったんです。(以下略)

 ちなみに、タイガーモス号のガス嚢の中には、He(ヘリウムガス)が入っているようです。

ロボット兵のデザイン(2001/12/18)
 時計の裏蓋を取ると、不思議な感じで機械がつまっているでしょう。顔のデザインは、あれから来ているんですよ。
 気に入っていて一度テレビ(新・ルパン三世・最終回)で使ったんですが、どうも心残りがありまして今回もう一度、使ってみたんです。
 登場させるのは、企画当初から決めていました。ロボット兵だけじゃないんですが、ラピュタという文明のもう一つの側面、凶悪な部分を出そうと思っていたからです。


 「発見!」の方にも掲載しましたが、ラピュタに登場するロボット兵は、以前ルパン三世で“ラムダ”として出たものと、かなりそっくりなのだそうです。




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