極力、ネタバレなどはないように心がけて書くつもりです。ネタバレ気味のところは、背景色と同じにしました。
冒頭の部分、千尋がトンネルを抜けたところで、突然強い風がトンネルから吹いて、千尋の背中を押す場面があります。この場面で、自分も物語の中に押し出されたような感じがしました。その後のハクと会う場面からは、一気に引き込まれましたが、両親が豚になってしまっている場面は予告編で見てしまっていたので、あまり驚けないのが少し残念でした。しかし、この辺本当に“怖い”場面です。今までのジブリ作品の中で、一番恐ろしい場面なのではないでしょうか?(それにしても、あのたくさんいる黒い影のような、ぼんやりしたのは何なんだろう…)
ハクが千尋に、釜爺のところへ行く道順を教える場面は、最近の宮崎さんの作品では珍しい描き方をしているような感じが何となくしました(違うかもしれませんが)。
そして、釜爺!他の登場人物(霊々は除く)が、あまり宮崎さんの絵らしくないような中、釜爺だけはものすごく“宮崎監督らしい”顔!!(性格も、ものすごく気に入ってしまいました ^^;)
この場面で、初めて知らない人に話しかけるときの不安な感じや、どんな人物かも分からない緊張感というようなものが、とても丁寧に描かれていて、こっちまで緊張してしまいました。ここで、ススワタリ(まっくろくろすけ)が出てきますがトトロの時とは、多少イメージが違うと思います。
この後、湯婆婆のところへ行きますが、ここでの「ここで働かせてくださいッ!」というのは、やはり深く印象に残ります。文句なしで、この場面は、一番重要な場面の一つでしょう。ハクいわく「ここでは、仕事を持たないものは、湯婆婆に動物にされてしまう」という。働く=人間として生きる、ということなのか…。そこまで単純ではないとしても、釜爺の「手ぇ出すなら終いまでやれ!」にしても、“仕事”や“生きる”ということについて、いろいろと考えさせられます。
また、この時に「萩野 千尋」が「千」になってしまう場面も印象的です。この“名前”(あるいは“言葉”←釜爺の「○○○○o」とか…。(見た人は分かりますね?(笑)))というのもこの作品の重要な要素ではないかと思います。
そして、予告にも出てきた、花畑(?)を抜けていくシーン。あの花には圧倒されます!この他にも、水面や、闇、光といった美術が本当にすばらしく、初めて見るような視覚的な場面がいくつもあり、新鮮でした。
ところで、オオトリさまや、おしらさまなどは意外と出番は少なく、名前も映画の中では出てきませんでした。個人的には、もう少し出番をつくって欲しかったな…(特にオオトリさま ^^;)
まだまだ、話が続きますが、ネタバレなしで書くのは難しいので、この辺にしておきます。
全体的に感じたのは、最初の方はゆっくり丁寧に話が展開していくのに対して、最後の方はちょっと展開が早すぎるように感じました。音楽は、さすが!という感じでした。大変良かったです。やはり宮崎アニメには久石さんの音楽です!(シンフォニーとか、出ないかな・・・?)
最後の方になるのに従って、千尋も十分魅力的なキャラクターに成長していきますし、登場人物のいろいろな面も見えてきます。そして最後は…。見終わった後に、心があたたかくなるような気がしました。主題歌「いつも何度でも」もまた、映画を見た後に聞くととても良いです。宮崎さんが、初めからこの歌を最後に流すと決めていた理由が、分かるような気がしました。
さて、1回だけ観た時点で、結構「謎」が多いです。(もう2〜3回ぐらい観に行きたいな…)「その後」も少し気になります。 ^^;
とりあえず、この映画は、一度は映画館の大きなスクリーンで観るべきだと思います!!後でテレビなどで観るだけでは、絶対に伝わらないものがあると思います。
10歳の方、これから10歳になる方、かつて10歳だった方、それぞれが観て感じることは違うと思いますが、絶対に観て損はないでしょう・・・。